2018年(平成30年)は副業元年と言われております。
最近「副業」という言葉をよく耳にしたり、「副業」をしている人が周りに増えてきた、なんて人が多いのではないでしょうか?
本記事では、なぜ今「副業」がブームになっているのかについて解説していきます。
「副業」という言葉に法律上明確な定義はないですが、「本業以外で収入を得ることのできる仕事のこと」を指していることが一般的です。また同義語も様々あり、兼業・サイドビジネス・パラレルワークとも呼ばれます。
また似たような言葉に「業務委託」もありますが、「副業」は働く方法を指しているのに対して「業務委託」は契約方法になので意味が異なってきます。
副業が話題になっている理由を正しく理解するには、雇用側と働き手側の2つの視点で理解しておく必要があります。
2017年に政府は「働き方改革実行計画」を閣議決定し、副業や兼業などの柔軟な働き方の実現を目標としました。この「働き方改革実行計画」とは、副業が新たな技術やオープンイノベーションを加速させたり、第2の人生の準備として有効であるということを示したものになります。
次に2018年には「モデル就業規則」が改正されます。「モデル就業規則」とは企業が就業規則を作成する際の指針しているもので、その1部分でこれまでは「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と記載されていたものが「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」に変更されたのです。これにより副業が原則禁止から原則容認へと変更になったのです。
さらに2019年には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定され、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載されるようになったのです。
この一連の流れは企業側が副業採用を進める大きなきっかけとなりました。
実際に私たちが提供している「ワークホップ」で副業採用した事例も増えてきています。
15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」は1995年を境に減少し続けています。2022年現在での生産年齢人口は約7,300万人(以下:生産年齢人口推移)ですが、今後の15年で1,000万人が減少する可能性もあるのです。
さらに正社員が不足している企業は全体の47.8%と人手不足が顕著化してきており、今後ますます人手不足は進んでいくと考えられます。
このような背景もあり、企業側の採用活動の難易度は年々上がってきており、特に即戦力人材の確保に頭を抱えている企業が増えてきております。転職人材の半数以上は人材エージェントや転職サイト経由で転職活動を行うため、採用できた場合の企業側が支払う手数料も悩みの種の一つです。仮に年収1,000万円の人材を採用した場合の手数料は300万円程度と言われています。
そんな悩みを解決できる手段としても副業は注目されています。募集する企業にとってはコストを抑えて採用できることはもちろんですが、特定の領域のスペシャリストを採用することもできるので採用後すぐに成果を出せる人材が多いのも魅力の一つです。
弊社が提供するIT/DX人材に特化した副業求人プラットフォーム「ワークホップ」では魅力的な人材が15,000名以上登録しており、貴社の課題解決につながる人材を低コストで採用できるかもしれません。
本業で雇用している会社側が従業員に副業を認めると従業員の会社への満足度が上がるというデータも出てきています。「副業を容認すると社員の転職や離職リスクが上がる・本業へのモチベーション低下する」など、マイナス面の影響を問題視する声が多くありますが、実際はプラスに影響することの方が多いとも言われています。
実際に会社側が副業を容認し、副業を開始した従業員は、本業へのモチベーションが上がったりスキルや自主性が向上するケースが多いようです。
つまり優秀な人材へのリテンション活動の一つとして、副業を容認する会社も増えてきているのです。
新型コロナウイルスが猛威を奮ってから、リモートワークに完全移行する企業が増えました。これにより通勤時間がなくなり「可処分時間が大幅に増えた」という人も多いのではないでしょうか?日本の平均通勤時間は約80分と言われているため、1日あたり80分の時間に余裕が生まれたことになります。
この新たに生まれた時間を自己投資に充てる人が増え、副業でスキルを磨く人も増えたのです。
一方で、株式会社日本マーケティングリサーチ機構の調査によると、新型コロナウイルスによって収入が減った人は約45%いるとも言われております。この収入が減少した人々は収入の補填として副業を開始するケースも増えてきています。実際に副業を開始する理由の25%はこの収入補填とも言われております。
近年「終身雇用」に関する議論が様々なところでなされていますが、終身雇用は今後存続の危機を迎えるでしょう。その理由としては「日本経済が低迷している」「成果主義が定着しつつある」の2つが挙げられます。そもそも終身雇用とは日本経済が成長することや年功序列を前提に作られており、今の時代にマッチしていない人事制度とも言えます。
経団連の中西宏明会長は2019年4月に、「企業が終身雇用を続けていくのは難しい」と言及したり、トヨタ自動車の豊田章男社長が2019年5月に、「終身雇用の維持は難しい」と発言したことも社会に大きなインパクトを与えました。
また実際に平成の30年間で非正規社員の雇用数は1989年の「817万人」から2019年は「2,165万人」と約1,300万人増加し、これは特定領域のスペシャリストを外部から雇用するいわゆる「個の時代の幕開け」を感じさせるデータでもあります。
そんな終身雇用が存続の危機にある中で注目されているのが副業です。副業は本業では得られないスキルや経験が得られたり、自らの強みをさらに強化していくことのが可能です。
成果主義やジョブ型雇用が注目されている昨今、副業で「個のチカラ」を身につけていくことが重要になってきます。
副業が話題になっている理由を見てきましたが、実際に副業はどの程度浸透しているのでしょうか?
まず副業を容認している企業の比率ですが労政時報の調査によると、「認めている」が全体の35.4%、「禁止している」が49.3%と禁止している企業の方がまだまだ多いのが実態です。
副業を認めている会社の理由としては、下記が挙げられます。
・多様な従業員の活躍を推進するため
・従業員のスキル向上や能力開発のため
・優秀な人材の定着に繋げるため
他方、副業を認めている会社においては70.8%が実際に副業を行なっているという結果も出ております。副業を企業側が認めることで、モチベーションの高い人材は副業を行い、本業へのモチベーションも上がっていくという好循環が出来上がってくるのではないでしょうか?
上述した通り副業の活用に関してはまだまだ黎明期でありますが、活用事例に関しては確実に増えてきているという状況です。
同社では2020年10月に、副業人財を受け入れ、オープンイノベーションの創出を目指す「ギグパートナー」制度の開始しました。2020年7月の募集に対して応募した人数はなんと4,500人超。この中から104名を採用し現在は既に業務に当たっています。
この104名には匿名掲示板「2ちゃんねる」の開設者の西村博之(ひろゆき)さんも含まれ、最年少は10歳、最年長は80歳と実に幅広く採用しております。
日本を代表する大企業がこのような取り組みを実施したことは大きな話題にもなり「副業」という言葉が浸透するきっかけにもなりました。
オンライン習い事マーケット「classmall」を運営する株式会社YAGO。同社ではエンジニアの副業1名と、BizDev担当の正社員を「ワークホップ」経由で1名採用しました。
副業採用のメリットの一つとしては、転職市場にはいない優秀な人材を獲得できることが挙げられますが、同社ではその恩恵を十分に受けていると言います。
副業の活用事例に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。
いかがだったでしょうか?
副業人材の活用は今後ますます進んでいくことが考えられます。
副業人材の獲得競争が激化する前に、活用してみることが貴社の競争力獲得に繋がるかもしれません。