近年「副業」を採用して事業を推進していく企業が増えてきました。
雇い主として「副業」は低コストでリスクが少なく優秀な人材を採用ができるというメリットもありますが、採用をする前にリスクに関しても知っておく必要があります。
本記事では、副業採用におけるリスクについて解説していきます。
偽装請負について触れる前にまずは労働基準法に関しての理解を深めましょう。
労働基準法とは、日本国憲法第27条第2項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」との定めを受け、1947年4月に制定された、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。
人間同士の関係性を規律する法律には一般法である「民法」があり、「民法」においては「対等な私人」同士が「申込み」と「承諾」によって「自由に契約」が結ばれることが原則となっています。つまり雇用する側(使用者)と雇用される側(労働者)の双方の許諾さえあれば自由な契約が結べてしまうのです。
この場合交渉力や経済力で劣る労働者にとって不利な条件での雇用も可能になってしまいます。
上記のような状況をなくするために、特別法として規定されているのが労働基準法であり、労働者を保護する法律なのです。
一般法と特別法の関係性は特別法を優先して適用させるため、民法における契約自由の原則があっても、使用者は特別法である労働基準法に従う必要があるのです。
では副業として従業員を抱える場合に労働基準法を考慮する必要はあるのでしょうか?
副業メンバーを抱える際に締結する契約は業務委託契約であることが一般的です。この業務委託契約を締結する場合は労働基準法は適用されません。一方で業務委託契約を締結しているにもかかわらず、労働時間を指定されていたりする場合は、偽装請負と見なされることがあるので注意しましょう。
偽装請負にならないためには定期的に労働環境を確認することが重要でしょう。下記項目を確認し一つでも当てはまるポイントがある場合は直ちに見直しを実施しましょう。
・作業指示を行なっていないか
・作業時間や作業場所の指示を細かく行なっていないか
・契約にない作業依頼を行なっていないか
・作業に関する期日の設定を行なっていないか
企業側が副業を認めるためにあたってクリアにしたいポイントの一つに「情報漏洩」が挙げられます。ここでは「意図した情報漏洩」と「意図しない情報漏洩」に分けて事象と対策を説明していきます。
意図して発生する情報漏洩には下記のようなケースが想定されます。
・同業他社で副業を行い双方でナレッジの共有を行う
・本業先と副業先で顧客のデータを共有し営業活動に利用する
これらのケースを引き起こさないためには、「就業規則や誓約書で機密保持に違反した際の罰則を定めること」や「副業で雇用する際の情報アクセスの範囲を限定すること」が効果的でしょう。 後者に関しては過剰に制限してしまうと業務に支障が出る可能性もあるので、コミュニケーションを行いながら開示する範囲を定めるのが良いでしょう。
意図せず発生する情報漏洩には下記のようなケースが想定されます。
・秘密情報と認識せず第三者に開示してしまう
・PCやスマホを紛失してしまう
・PCのウイルス感染
これらのケースを引き起こさないためには、「リスク管理意識の醸成」が効果的でしょう。研修やセミナーを実施する、またはリスク管理に関するドキュメントの作成などを実施し情報漏洩に関する危機意識を向上を図りましょう。
従業員を採用する時には、誰もが長い間活躍してくれることを期待し採用活動を行なっていると思います。しかし、残念ながら大学卒においては10.7%が、高校卒においては11.2%が半年以内で退職しているというデータがあるのです。入社して半年のタイミングは研修が終わる頃のタイミングでもあり、会社とのミスマッチが主な退職理由と考えられるでしょう。
労働生産人口が減っている日本においては、このような人材の流出は重要な経営資源の損失につながります。
副業採用においても契約期間を長めに定めてしまうと同じリスクに直面してしまいます。
ワークホップではこのリスクを軽減させるために「おためし採用」を推奨しています。これは正社員や長期契約で採用する前に短い期間(1ヶ月等)での契約を締結し、会社と従業員双方で入社前とのギャップの有無を実際に働いて確認することを指しています。このステップを踏むことによって、両社のミスマッチが減っていき、ミスマッチがあった場合でも入社してすぐに手を打つことが可能です。
いかがだったでしょうか?
副業の採用は使用者側に大きなメリットをもたらす一方で、リスクについてもしっかり考えていく必要があります。
リスクを正しく理解した上で、副業人材を活用し貴社の事業を推進していきましょう。