「事業をスピーディーに拡大したい」、「効率よく業務を進めたい」と考えたときに、今すぐ頼りになる人材を採用したいと思うことは少なくないでしょう。
そうした際におすすめなのが、副業人材の活用です。
副業人材の活用には、スキルが高く経験のある人に業務を依頼できたり、人的コストを抑えられたりするなど、多くのメリットがあります。
本記事では副業人材を活用しているベンチャー企業・大企業・地方自治体の事例を紹介します。
副業人材を活用することで、どのような課題を解決でき、どのような効果があるのか知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
まずは、ベンチャー企業における副業人材の活用をご紹介します。
プロジェクト推進における課題を解決するために副業メンバーを採用した企業の事例です。
株式会社Robesは、ゲーム×コミュニケーションの領域で事業を展開するスタートアップ企業です。
2019年創業ということもあり、採用のための予算やリソースを十分に確保できないという状況でした。また、採用候補者との接点が少ないという課題がありました。
そこで、株式会社Robesは、様々な属性の候補者が登録しており多数の採用候補者と接点が持てるワークホップの利用を始めました。
自社のプロダクト領域とマッチする候補者を中心にアプローチし、エンジニア1名、ビジネスサイド3名のおためし採用の後、ビジネスサイド1名の採用に成功しました。
採用したメンバーには結果を追うことに集中してもらうよう伝えており、プロセスに関しては介入しないことで、マネジメントコストを減らしています。
求めるスキルを持っているだけでなく自走できる人材を採用したことで、スピード感をもって成果にコミットできる体制を築きました。
常に目の前の課題解決に忙しいスタートアップだからこそ自走できる副業メンバーに協力してもらい、事業の推進を可能にした一例です。
株式会社TRIVE GROUPは、サブスクリプション型の動画配信プラットフォームなどのメディア・エンタメ事業を運営する創業2019年のスタートアップ企業です。
新規事業の立ち上げをしたり事業展開をしたりする状況で、即戦力となる人材の確保が早急に必要でした。
ダイレクトリクルーティングやリファラル採用で即戦力の副業人材を確保し、なかなか手が付けれていなかった重要な施策を進められることができました。
また、ミーティングに積極的に参加してもらうなど、社員と同じ熱量で業務に取り組んでもらえたことで、コミュニケーションコストをかけず、仕事を進めてもらえている点が株式会社TRIVE GROUPにとってのメリットでした。
MR(Mixed Reality:複合現実)スタートアップの株式会社GATARは、専門性のある人材を副業で採用することで、事業をグロースさせています。
特定のドメイン知識が必要な重要な業務に副業人材を活用しています。
副業のメンバーは稼働時間が限られていることもありますが、株式会社GATARでは、副業人材にも社内のミーティングに参加してもらったり社員の壁打ち相手になってもらったりと、活躍していることが周りにもわかる場をなるべく用意するよう工夫をしています。
副業人材が社員や既存メンバーと協力しあえる環境にすることで会社全体で業界の専門知識のアップデートができ、売上につながる成果を出せる組織になりました。
ここでは、大人数の社員が働く企業での副業人材の活用事例を紹介します。
前章のベンチャー企業とは活用に至る背景がやや異なり、既存組織を活性化させたり、社会的な課題や掲げるミッションを達成したりすることが起点となっているのが特徴です。
ヤフー株式会社は、2020年7月より、ヤフー株式会社以外で本業に就いているギグパートナーとの業務を開始しました。
2021年3月のLINEとの統合を控えていた当時、大手IT関連企業のGAFA(Goole, Apple, 現MetaのFacebook , Amazon)と対峙できるほどの成長の必要性を感じたことや、新型コロナウイルスの感染拡大を受けニューノーマルの社会を見据え、ギグパートナー制度を始めるに至りました。
ヤフーでは副業人材を「ギグパートナー」と呼んでおり、非フルタイム制度で業務委託として働いてもらう「ギグパートナー制度」を設けました。普段の所属組織や企業を越境して協業することを目的として積極的に募集を行っています。
応募者から選出されるギグパートナーの属性は幅広く、10~80歳の年齢で、中国やフランスからの参加もありました。
カシオ計算機でイメージング事業開発を手掛けている方や、Kaizen Platformの取締役CTOなど、各領域のプロフェッショナルが選抜され、事業プランアドバイザー、戦略アドバイザー、テクノロジースペシャリストの3領域を中心に副業人材の活用が進んでいます。
社内に多様な人材を確保をすることでイノベーションを起こし、全社として未知の領域に踏み込めるような成長を目指している一例です。
ユニリーバ・ジャパン株式会社には2016年より「WAAP(Work from Anywhere & Anytime with Parallel careers)」という制度が存在しており、外部人材による副業やインターンシップを募集しています。
選考も業務も原則オンラインで行われているため、居住地域を問わず応募が可能で、世界中の人に門戸が開かれています。
ユニリーバ社は、副業人材を「パラレルキャリアン」と呼び、誰もが自分らしく働き、学び、キャリア構築ができるような社会を作ることを目指しています。
そのため、パラレルキャリアンが自身の能力やスキルを再認識できたり、目的をもって働くことを強く意識できるようになったりすることが重要視されています。
外部から優秀な人材を登用できるというメリットを享受すると同時に、一企業として個人の人生や社会に新しい価値や気づきを与えるような活動も叶えている一例です。
サイボウズ株式会社は、サイボウズで働くことを複(副)業とする人材の募集を2017年に開始しました。
「100人いれば、100通りの働き方」を掲げていることから、様々なスキル・知識を持った人材を雇用形態にこだわらず採用しています。
「サイボウズで副業したい方、採用します」とアナウンスをしたところ、これまで通りに募集をかけても集まらないような魅力的な人材からの応募が集まりました。
専門分野を持った人材と既存メンバーのスキルを掛け算できることで、予想していなかったおもしろいことが発生するということもあるようです。
サイボウズではその他にも複業をしている人をあえて採用したりと、柔軟な雇用形態を取り入れている企業の一つです。副業人材の採用や活用に悩まれている方は是非参考にしてみてください。
ここでは、地方自治体での副業活用の背景や取り組みの事例を紹介します。
地域の人材不足解消や市の職員から成る組織を活性化をするために副業を推進する3つの自治体の取り組みを取り上げます。
神戸市は、市の人材を外部から補填するという取り組みをいち早く始めた自治体です。2020年秋より市役所内での副業・兼業人材の登用を始めました。
神戸市の副業人材の採用は、エン・ジャパン株式会社の「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」や株式会社クラウドワークスが運営する副業マッチングサービス「クラウドリンクス」などのプラットフォームを通じて行われました。
神戸市は「都市型創造産業」を構想しており、魅力的な都市づくりを目指しています。
その一環としてスタートアップやベンチャー企業による「実験」を積極的に行っており、経験のある外部パートナー協力してもらうことで、これまで解決できなかった課題や新たな領域に積極的に挑戦しています。
例えば、テクノロジードリブンなプロジェクトやデザインやコピーライティングのスキルが必要になるポジションなど、クリエイティブな外部人材の登用を図っています。
2021年11月には、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が開催した「フリーランスパートナーシップアワード2021」にて、神戸市の広報戦略部と首都圏プロモーションチームが活用企業部門で大賞を受賞しました。
岡山県岡山市は、市が強化したい分野において専門性の高い外部人材を登用し、「戦略マネージャー」として活用する「プロフェッショナル人材活用プロジェクト」を2020年6月に実施しました。
副業・兼業のプロフェッショナル人材を募集し、3職種で5人の採用に成功しました。5人のうち3人は副業、2人はフリーランスとして岡山市の課題を解決するためのプロジェクトに参画していました。
「地域で仕事はしたいけれど、地方自治体への転職はハードルがある」という人材とうまくマッチングし、採用に至った事例です。
外部の民間企業のノウハウを活かし、自治体職員が抱える課題の解決や地域住民の満足度が上がる行政サービスの向上のための取り組みに力を入れています。
本プロジェクトの岡山市の外部人材登用は、ビジネスマッチングサービスを運営する株式会社みらいワークスが協力しました。
副業やフリーランスでの活動がしたいという人材を紹介してもらえるサービス・プラットフォームを活用することで、人材確保に成功しています。
奈良県生駒市は、2019年、「市の変革をスピードアップさせるためには外部人材の知見が必要」という小柴市長の考えに共感したエン・ジャパン株式会社と共に、人材登用のための連携を開始しました。
生駒市は大阪都市部の郊外として発展しており、子育て・教育領域の環境整備に力を入れています。しかし、少子高齢化の影響を受けるなど、まちを活性化させるための取り組みが必要でした。
そうした背景から、市の変革を進めるための新たな知見や民間組織での経験を持った人材の登用を行うようになりました。
テレワークによる勤務も可能にすることで、これまで採用できなかった人材が集まることを狙っています。
奈良県生駒市長である小紫 雅史氏は、「新しい取り組みはもちろん、民間出身の方のアイデアに刺激を受け、市職員や関わる市民の方からも積極的な発言が増えるなど市の活性化につながっていると感じている」と副業人材の活用の効果をポジティブに捉えています。
2021年10月には、DX推進やスマートシティのプロジェクトを担うポジションなどの職種を新たに募集するなど、初回の副業人材の活用効果を受けて、より積極的な副業人材の活用への取り組みがみられています。
いかがだったでしょうか。
この記事では様々な企業・組織での副業人材の活用事例をご紹介しました。
副業人材の活用のメリットは以下が多く挙げられていました。
副業人材を活用することで、自社の事業課題を解決できるかもしれません。
副業の採用を検討中の方、採用の方法にお悩みの方は、ぜひworkhopの資料を読んでみてください。