2018年1月、厚生労働省は各企業の就業規則の指針となる「モデル就業規則」を改正し、副業を推奨をするようになりました。2020年9月には「副業・兼業に関するガイドライン」を改正し、副業・兼業をする際の就労時間について言及しました。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、柔軟な働き方が徐々に認められるようになりました。ベンチャー企業に限らず、大企業でも社員の副業が認められたというニュースが記憶に残っている人もいるでしょう。
このトレンドを受け、大企業での経験や専門領域の知識を持つ人材を副業で採用したいと思う中小企業やスタートアップ企業は少なくありません。
しかし、副業人材を採用したいと思っていても、実際にどのような業務を依頼すればいいかわからず、採用活動の準備がなかなか進まないということはありませんか?
副業人材を活用できる領域は幅広くあります。
IT技術職やデザイナー・クリエイターなどの求人情報は以前から多く見られますが、営業職やマーケティング職、経理・人事・法務などバックオフィスのポジションが募集されていることも増えています。
本記事では、これから副業人材の活用を検討している経営者や採用担当者に向けて、どのようなケースで副業人材に何の業務を依頼とよいのか解説します。
副業人材を採用する前に、まずは事業や経営上の課題の整理をしましょう。
どのようなことを解決しなければならないかを明らかにすることで、副業人材の活用をする目的がわかり、採用するべき人材の条件や基準が見えてきます。
よくある課題としては主に下記の3つがあるでしょう。
1.一人当たりの労働時間が長いため、既存メンバーの負担を減らせるような人材が必要
2.社内にいるメンバーでは対応できない業務があり、専門スキルを持った人材が必要
3.新たに設置する部署に適切な人材が社内にいないため、外部から0→1で組織を立ち上げた経験がある人材が必要
課題が特定できれば、解決手段が検討できます。まずは、自社がどのような問題に直面しており、何を解決するべきなのかを見定めましょう。
新しく人材を採用する場合には、自社の組織体制やマネジメントのしやすさなどを考慮し、副業人材にどのような仕事を依頼するべきなのか、どのような雇用形態で働いてもらうのがいいかを検討しましょう。
以下では副業人材に依頼するべき業務を、業務の特徴や働き方別にわけて紹介します。
企業が副業人材を活用できる業務は、タスク型、プロジェクト型、ミッション型の3つに分けることができます。
さらに、同期コミュニケーション、非同期コミュニケーションのコミュニケーションスタイルで依頼する業務を整理できます。
契約期間 | 同期 | 非同期 | |
---|---|---|---|
タスク型 | 短 | △ | ◎ |
プロジェクト型 | 中 | △ | ◯ |
ミッション型 | 長 | △ | × |
同期コミュニケーションとは、複数のメンバーが同じ時間に同時に何かを行うコミュニケーションのことです。例えば、会議や電話などがこれに当たります。オンラインでもオフラインでも、同じ時間を共有するのであれば、同期コミュニケーションとなります。即時の情報共有やスピード感のある合意形成に向いています。
一方非同期コミュニケーションとは、複数のメンバーがそれぞれ異なる時間でコミュニケーションをとることです。メールやチャットは非同期コミュニケーションに分類されます。メッセージを送る際は相手が何をしているかは関係ありません。メッセージを読む時間、返信する時間は、相手次第です。お互い束縛し合わずコミュニケーションを取ることができます。
ここからは、3種類の業務タイプそれぞれの特徴と、コミュニケーションタイプにあった業務を具体的に紹介します。
一つ目はタスク型の仕事です。タスク型の仕事は業務をする期間・内容・納品物が明確であることが特徴です。例えば、バナーのデザインなど納品物が明確な業務や、録音データの文字起こしのような単純作業がタスク型の仕事にあたります。
定めた基準の成果物を納品してもらえればそこで業務は完了となるため、契約期間は単発~2、3ヶ月と短い傾向にあります。
タスク型×同期の業務の例としては、取材記事の作成が挙げられます。
執筆をする時間は非同期での進行ができますが、その前に、取材日時を調整し話を聞きに行くという工程が発生します。
取材記事は一例ですが、副業人材が自社の取引先などの外部企業と打ち合わせをする場合はタスク型×同期の業務に分類されます。
一定のコミュニケーション量が必要になるため、スムーズにやり取りができる環境を整えておくと良いでしょう。
タスク型×非同期の業務には次のようなものがあります。
仕様書やレギュレーションに沿って制作をしてもらうので、納期に間に合いさえすれば好きな時間に業務を行ってもらうことができます。
あまりコミュニケーションが発生しないため、メールやチャットでのやり取りで完結することもあります。
ワークホップではこのようなタスク型の業務を請け負える魅力的な人材を15,000名以上保有しております。
二つ目はプロジェクト型の仕事です。プロジェクト型の仕事は中長期的に業務を依頼することが多く、ソフトウェアの開発や商品の企画・プロモーション活動などがその例です。
プロジェクトが立ち上がってから完了するまでの期間に契約をすることが多いため、おおよそ半年~1年程度の契約期間が一般的です。
プロジェクト型×同期の業務の例としては、商品の企画や開発、プロモーション活動が挙げられます。
上記のような業務では、アウトプットまでに多くの人にヒアリングをしたり内容のブラッシュアップをしたりする必要があります。
また、プロフェッショナルとして副業人材に意見を出してもらい議論を進めるには、素早いやり取りが重要です。
定期的に会議を行うなど、お互いに報連相がしやすいようにしておくことをお勧めします。
プロジェクト型×同期の業務で多いのが、開発系業務です。
アプリやソフトウェア、インフラの開発から、コーディングなどがあります。
こうした業務の多くは数週間から数ヶ月かかるようなプロジェクトですが、仕様があれば副業人材に主体的に進めてもらうことが可能です。
また、テキストでのコミュニケーションの方がスムーズに意思疎通ができることもあり、非同期コミュニケーションで進めやすいでしょう。
三つ目はミッション型の仕事です。ミッション型の仕事は、期間や業務範囲に制限が限定されておらず、社員と同じ熱量や帰属意識をもって働くことが求められます。経営戦略のコンサルティングや人材開発など、その分野の専門家といわれるような人材が請け負うことが多いタイプの仕事です。
ミッション型×同期の業務には、経営課題の相談役や人材開発など、コンサルティング系業務が該当します。
このような業務は基本的に、副業人材に相談をさせてもらいながら意見を発散させたり方針を決定したりするため同期的なコミュニケーションが必要になります。
他方、副業人材の稼働可時間は限られているため、なるべく非同期のコミュニケーションで完結できるように依頼する内容をタスクレベルまで細分化することが理想です。結果としてタスク型の業務として依頼することになる可能性が高いでしょう。
ミッション型には非同期コミュニケーションに適した業務はほぼないと言えるでしょう。
そもそもミッション型の業務は、採用する企業の理念やプロジェクトの目的から直接派生するものです。
そのため、採用する企業の担当者と打ち合わせをせずに副業人材に働いてもらうのは厳しいでしょう。
結果として非同期コミュニケーションを取ることもありますが、契約期間を通して一度も会議をしないということはありません。
副業人材に稼働してもらえる時間が少なくとも、オンラインオフライン問わず、対面でやり取りし、お互いの考えを伝えられる場があると良いでしょう。
いかがでしたか。
この記事では、副業人材に依頼する前に整理すべきことと、業務の種類について解説しました。
副業で依頼する業務は非同期コミュニケーションとの相性が良いことがわかったかと思います。
同期的なコミュニケーションを必要としている業務を、非同期前提の業務に変換できないか一度考えてみても良いでしょう。
契約期間 | 同期 | 非同期 | |
---|---|---|---|
タスク型 | 短 | △ | ◎ |
プロジェクト型 | 中 | △ | ◯ |
ミッション型 | 長 | △ | × |
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