働き方に多様性が認められるようになった昨今。
新型コロナウイルスの影響で景気が不安定になり、終身雇用の信頼度は低く、ますます副業に注目が集まっています。
企業が社員ではなくプロの副業人材を募集するケースが増え、パラレルワークへの理解も深まり始めています。
今回は、即戦力となり得る副業人材の募集方法と、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
副業人材の募集方法は、大きく以下の3つに分かることができます。
①転職と同じように「副業サイト」から募集をするケース
②企業が独自に副業人材を募集をする「公募」
③自社社員や友人知人から紹介をしてもらう「リファラル採用」
上記3つの方法のどれで副業人材の募集を行うかは、現在の会社の規模や経営状況によって判断が変わってきます。
働き方改革の推進により、副業解禁に向けて世間が動き出しています。
そこで近年盛り上がりをみせているのが、副業サイトです。
ここでは副業サイトを大きく2つに分類し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
エージェント型とは、副業を希望している人材と、副業人材を探している企業のと間にエージェントが入り、案件成立まで仲介する方法です。
双方に求める条件やスキルのヒアリングを行っているため、スムーズにマッチングするのがポイントです。
1.少ない工数で魅力的な人材が見つかる
副業が推奨され始めたことにより、全国に副業人材が点在していますが、魅力的かつマッチする副業人材に出会うのは容易ではありません。
しかしエージェント型の場合は、欲しい人材の条件を伝えるだけで数多くいる登録者の中から厳選した人材を紹介してもらうことが可能なため、採用担当の手間を省きながら魅力的な人材を見つけることが可能です。
2.コミュニケーションコストの削減
受注者と発注者の間に仲介人が入ることで、双方の言いにくいことをエージェントを通して伝えることができるのがメリットです。
エージェントは外部の人間になるので、中立な立場で円滑にコミュニケーションが取れるよう動くため、良い関係を維持したまま仕事を行うことができます。
3.代替人材を紹介してもらえる
万が一、紹介してもらった副業人材が合わなかった際、場合によってはエージェントに登録している他の副業人材を紹介してもらうことも可能です。
1.仲介手数料が高い
エージェントは、副業人材と企業をつなぐことで発生する、仲介手数料で収入を得ています。
そのため、自社のHPで採用を行う際にかからなかった費用が発生するため、ある程度の費用を見込んだ上で依頼を行う必要があります。
2.エージェントが抱えている登録者の数が決め手になる
条件に合った副業人材に出会えるかは、依頼をしたエージェントの手元にどれくらいの登録者数がいるかがポイントになります。
大手のエージェントは手数料が高くつくというマイナスな面もありますが、その分スキルを持った人材が多く登録している可能性もあるため、依頼先の選定はとても重要です。
副業サイトのプラットフォームとは、副業人材と企業をプラットフォーム上でつなぐサービスのことを指します。
副業マッチングサイト上で募集している案件に、副業人材が自ら応募をし、条件が合えば取引がスタートする仕組みになっています。
1.エージェントより費用が安い
仲介業者を間に挟まず募集を行い、登録している副業人材と直接やり取りができるため、仲介手数料の支払いが発生しません。
採用にコストを割くことが難しい場合は、手軽に人材確保が可能なプラットフォーム型がベターです。
2.成約までがスピーディー
エージェントを通して副業人材を探す際、双方の条件のすり合わせ等を仲介人を通して行うため、募集~業務スタートまで、1カ月程度はかかってしまいます。
プラットフォーム型の場合、取引をしたい人材と直接やり取りができるため、数日で成約に至るケースもあります。
1.採用業務に工数が必要
採用コストが抑えられるメリットはあるものの、企業自体の情報発信など、副業人材に興味を持ってもらうための活動が必要となります。
また、案件を多く抱えている副業サイトに掲載の場合は、サイトの上位に掲載をされるための作業も必要となってくるケースもあり、採用担当者のスキルと採用工数が多くなってしまうのがネックです。
プラットフォーム型では、IT・Web系の職種に特化した副業マッチングプラットフォームのワークホップがおすすめです。
初期費用が他のサービスと比較し安価であるため、ローリスクで掲載開始できるのが特徴です。
ここからは実際に副業サイトを用いた採用事例を紹介していきます。
ワークホップの大きな特徴は、副業人材を「ただの副業人材」では終わらせない点です。
マッチング後、副業を通して業務への理解を深めてもらうことができたら、正社員として雇用ができる「おためし入社」という新たな制度を導入しています。
副業という前段階を踏むことで、社風や経営理念を熟知した即戦力メンバーとして入社するため、早期退職や入社後のミスマッチが起きにくい特徴があります。
企業が副業サイトを通して副業人材を募集するケースは増えてきましたが、この流れが、本来副業禁止とされている地方自治体にも浸透し始めています。
その中でも特に有名な2つの自治体のケースをご紹介します。
2019年10月に、財務やPR担当等の副業人材を、エン・ジャパン株式会社と連携して募集しました。
大阪の都心部までのアクセスも良好な生駒市ですが、市民の約28%が65歳以上と生産年齢人口の減少が課題となっており、この課題を打破するためにも、公務員としては異例の副業人材募集に至りました。
市を挙げての副業人材の募集は新しいモデルケースの構築となり、追随する自治体も増えてきました。
兵庫県神戸市は、株式会社クラウドワークスが運営する副業マッチングサービス「クラウドリンクス」を利用して、2020年9月副業人材の募集を行いました。
広報関連の専門スキルを持つ人材をメインに募集を行ったところ、募集開始から10日間で1000人の応募があり、副業で地方創生の後押しをしたいプロ人材が多くいることが窺える結果となりました。
副業の活用事例に関しては詳しくはこちらの記事の参考にしてみてください
公募とは、企業の採用ページにて独自の求人広告を打ち出し、副業人材の募集を行うことです。
副業サイトが誕生する前までは、企業の一般的な採用方法とされていました。
1.費用がかからない
自社の採用サイトで独自の募集を行う場合、副業サイトやエージェントを通していないため選考にかかるコストを抑えることができるのが魅力です。
求人広告を出した場合、仮に採用ができなかったとしても掲載料がかかってしまいます。
副業人材の募集に対して予算が少ない時は、自社サイトで独自に募集をかけることをお勧めします。
2.宣伝になる
大手企業の特色ある副業人材の募集は、世間からの注目度も高く、募集自体が会社の広報的役割を担う可能性もあります。
自社のブランディングも兼ねて副業人材の募集を行うことは、経営面においてもメリットが期待できそうです。
1.知名度がないと集客力が弱い
自社サイトでの募集は、同時に会社のHPも閲覧してもらえて自社のアピールにもつながりますが、設立から日が浅く知名度の低い会社の場合は、大手企業に比べて集客力が弱い点がデメリットです。
情報・通信業界最大手のヤフーでは、「ギグパートナー」というポジションで、プロの副業人材を募集を2020年より行っています。
年齢や居住地、社会人経験の有無などに関係なく、保護者の同意があれば未成年でも応募ができるユニークな募集要項ということもあり、4500人以上の応募の中から10~80歳のギグパートナー104人が選出され、話題となりました。
クリエイティブさや業務に対して自立自走できるかどうかが重視されているため、即戦力として働ける副業人材を発掘できるのがポイントです。
ユニリーバ・ジャパンでは、Withコロナ時代のパラレルキャリアを応援するプラットフォーム「WAAP(Work from Anywhere & Anytime with Parallel careers)」にて、副業人材の募集を行っています。
副業人材を「パラレルキャリアン」と銘打ち、プロジェクトによっては学生でも応募ができるため、仕事を通して自身の成長やキャリアアップにもつながります。
多種多様な人材が自分らしくあることを目標にしている同社では、24時間365日、好きな時に好きな場所から仕事ができるようにし、より優秀な副業人材が活躍できる場を提供しています。
電気機器メーカー大手のレノボ・ジャパンでは、プロの副業人材を、「Lenovo Cross Workers(レノボクロスワーカーズ)」という位置づけで募集しています。
在宅勤務が主流になる前の2015年よりテレワークを導入し、自由な働き方を認めてきたこともあり、副業人材も出社を伴わない業務を通して、自己の力を最大限に発揮できる環境が整っています。
リファラル採用とは、自社ですでに就労している社員から、副業人材の候補者を推薦・紹介してもらう制度です。
縁故入社とは異なるため、求めるスキルが足りない場合は、採用を見送ることもできます。
社風や業務内容を熟知している社員から、自社が求める条件の人材を紹介してもらう制度なので、採用後の仕事に対するズレが生じにくくなるのがポイントです。
1.費用がかからない
求人広告を出したり、副業サイトを経由しない採用なので、紹介者に対してのインセンティブや採用活動時に発生した交際費の支払いのみで済むのが特徴です。
そのため、低コストで副業人材を見つけることができます。
2.パフォーマンスがある程度担保される
業務内容を深く理解している社員からの紹介なので、会社のコンセプトに合致した副業人材に出会える点が魅力です。
採用前から業務内容に共感していて、採用後は同じ方向を向いて仕事をしてくれる人材をお探しの場合は、リファラル採用を実施してみるのも良いでしょう。
1.母数が少なく時間がかかる
駆け出しのベンチャー企業やスタートアップ企業では、そもそもの社員数が少ないことも大いにあり得るため、紹介~採用までに時間がかかってしまうことがあります。
また少数精鋭の企業では、個々に任されている仕事の量が多く、副業人材の紹介にまで手が回らないケースも考えられます。
2.経営理念や求めている人材の周知が重要
すでに就労中の社員が中心となって採用活動する方法なので、日ごろから社員向けに経営理念の周知を行い、求めている副業人材の人物像やスキルを伝えておかなければ採用後のミスマッチが発生します。
ミスマッチが起こってしまうと、紹介した社員・紹介された応募者の人間関係が崩れてしまう等の原因になりかねないので、慎重に行う必要があります。
いかがだったでしょうか?
今回は、副業人材の探し方とそれぞれのメリット・デメリットについてお伝えしました。
副業人材の募集方法は、
・副業サイトの活用
・公募
・リファラル採用
の3つがあり、どの方法で募集を行うかは、会社の規模や知名度、コストの面などを考慮し、判断することをおすすめします。